かけがえの無い人を喪った悲しみをどう紛らわしたら良いか

 紛らわすということは、一時的に悲しみから遠ざかることで、悲しみや淋しさは、亡くなった人の年齢まで,例えば、10歳で亡くなった子供の場合は10年、20歳だったならば20年間忘れ去ることはできないと言われています。
 特に、二人の結びつきが強ければ強いほど忘却の彼方に捨て去ることは不可能です。ここでは、今までの経験を基にして悲しみを紛らわす方法を思いつくままに書いてみます。
1. 悲しみの度合い
 不幸にして、私は、父親、息子、弟、伴侶を喪いましたが、一番悲しみが深いのは妻の場合でした。その悲しみは数値では表せませんが、これを 100 の悲しみとすれば、異論もあると思いますが、他の人達を喪ったときの悲しみは次のようになると思われます。
続柄 悲しみの度合い   備   考
妻、夫 100 円満な家庭の場合で、一人になってせいせいしたと言う人では 0
子供 80 喪った時の子供の年齢にもよる
50 私は親不孝なのかもしれない
兄弟 30

 これは、同居していたかどうか、同居の期間などにも左右される筈です。

2. 紛らわしかた
 一時は、一緒になれる所に行ってしまいたいと思い、今でも時々そう考えたりしまします。特に、雨で天気の悪い日の夜、やるせない淋しさに襲われ気が狂いそうになります。しかし、じっと、遺影を見ていると"あなた、そんなに早く来なくてもいいわ、私の分まで長生きしてよ"と言っているような気がし、後を追っても果たして再び一緒になれると言う保証もないので、て我慢をしています。泣きべそをかいていても何の助けにもならず、”千の風”になった人やお坊さんの言うように、天国で蓮の池から我々を見下ろしている故人も決して喜んではいないはずです。一人になってしまった場合、残された時間は全部自分のものなので、今まで出来なかったことに没頭し、一方で、成るべく人と接することが気を紛らわす最善の方法ではないかと思います。

 2.1 成るべく人と接すること
  1) 不特定多数の人たちと話す
 最近は買い物に行ってもレジを通るだけで一言も喋らないで用が済んでしまい、昔の様に店の人達との対話はなくなってしまっています。例え、レジの人にでも"今日はこれは安いね"などと話し掛けると何らかの返答が帰ってきて、今日一日誰とも話さなかったということはなくなります。町に出た途中、マックで一人侘しい昼食をしていたら、隣の席の老人がジタンを吸っているのを見て、”今時フランスの煙草を吸うなんて珍しいですね”と話掛けてみました。1928生まれだそうで、大分前に奥さんと死に別れて一人暮らしをしており、既に、遺産は子供達に生前分与し、正式な遺言も書いて友人に預け、老人ホームも契約済みだと聞き大いに参考になりました。

  2) 同じ境遇で気心の合った人を探す
 こんな人は滅多におりませんが、何かのはずみで回り逢うことが出来たら最高です。そうして、話をしながらお互いにげらげらと笑うことができたら言うことはありません。
 天国の伴侶は"あいつ、何処の馬の骨とも分からない奴と大笑いしてやがる"と苦笑しながら許してくれると思います。

 2.2 趣味に生きる
 私は無趣味なので、などと言わないで下さい。今までやりたいと思ったことが何かあるはずです。趣味に没頭している姿を見て、故人は "ああ! あれがしたかったのか"と満足していることでしょう。
  1) 旅行
 一般のツアーへの参加は止めた方がいいです。先だって、九州縦断のツアーに参加しましたが、鵜戸神宮への坂道で老夫婦が手を取り合って降りて行く姿、レストランで一緒に食事をしながら他の夫婦と話し合っているカップルの隣で、孤独の悲哀をしみじみと思い知らされて楽しい気分は消えてしまいました。滅多にありませんが、クラブツーリズムのパンフレットを探すと一人でも参加できるコースがあり専らこれに参加しております。先月の北海道ツアーでは、定山渓温泉で、8畳の4人分の和室に一人、ホテルではツインの廣い部屋を一人占めさせてもらい、食事の支度も考える必要はなく、お互いに亡き伴侶の思い出話、今後の行き方などを話合うことが出来、とても、和やかな雰囲気に接することが出来、思うぞんぶん楽しむことができました。夢々、一般のツアーに一人で参加することは避けた方が良いと思います。



  2) 観劇、映画、講演会
 私と同じように、愛児と奥さんを亡くした主人公の生き方を取り上げた韓国の映画、ラストプレゼント、定年退職直後、事故で奥さんを亡くした男のストーリー "About Schumidt" 、5歳の息子を亡くした母親、母親を自殺に追い込んだ娘、一緒に農園を経営していた夫の未亡人の三部作からなる”千の風になって”を見て、身につまされる思いをしましたが、一方では、心が和む思いもしました。また、新聞の広告で色々な無料の講演会があるので、これに参加するのも知識を広める意味で有益です。但し、いかがわしい集まりもあるので注意しましょう。
  3) 読書
 若い頃読んだ文芸作品をまた読み返すのも、良いと思います。世の中のことを色々と経験した現在、以前と違った新鮮な発見があるはずです。悲しいことかも知れませんが夜、遅くまで読んでいても誰も "もう寝なさいよ" と言う人もいません。
  4) 習い事
 カルチャースクールが各地で開かれており、色々なことを勉強することが出来ます。普通、見学が許されているので、見学をさせてもらい、気に入ったら参加するのも良いと思います。定員が空いている場合、途中参加だと、月謝は残りの分だけ払えばよいことになっています。
  5) 食事
 子供達と同居している場合はあまり問題にならないと思いますが、一人ぼっちになった場合、朝食が終わると、昼は何を食べようかと考えますが、何も浮かんできません。これも習い事になりますが、以前、一人でも参加できるツアーに参加したとき、男やもめの人達は殆どが料理教室に参加していることを知りました。教室で、色々な人達と一緒に料理を作っていると、オーケストラの一員やコーラスの一員の様に一つのことを皆で作り上げる楽しさが満喫でき、その間は淋しさも忘れてしまいます。家で、習った料理を作り、遺影を見ながら "どうだ、美味しいだろう、俺の腕も馬鹿にしたものではないだろう" と自慢しながら一人で食事をしていると、"少し塩辛すぎない" 等と何時ものような文句を言っている様な気がして侘しさが紛れます。
  6) インターネットに挑戦する
 一人で淋しい時にネットサーフィンをしていると,あっと言う間に時間が過ぎて行き内容によっては教養も身につきます。私は、現在、ヤフーで童謡、懐かしい歌等を検索して楽しんでいます。古今東西の歌が数知れず収録されており、以前、家内と一緒に歌った歌の歌詞とメロディーを楽しむことが出来ます。家内と一緒に口ずさんでいる積もりになり、"貴方何時になっても歌が下手ね" と言われながら、2時間ぐらいあっと言う間に過ぎてしまいます。パソコンが苦手な方は、鮫島有美子さんや、由起さおりさんのCD を聞くのも良いかも知れません。パソコンは今では小学生でもやっており、ちっとも難しいことではないので、この際挑戦してみるのも淋しさを紛らわすことが出来る一つの方法と考えます。最も心が癒される音楽は吉田 正さんのホームページ ”花と詩と音楽と”です。是非、一度開いて聞いてください。中に フェラーリの "聖母の宝石” が収められています。この音楽は亡くなった家内の好きだった曲の一つで吉田さんにお願いして、収録していただいたものです。随分苦労してアップロードされた由、感謝して聞いております。
”花と詩と音楽と” で検索して聞くと、とても心が癒されます。 

3. もてなしで最大の癒し
 家内も娘も通っていた全国規模のベターホーム協会の教室に2004年7月末で42回通い続け色々な料理を習っています。過去、10年以上単身赴任を強いられたので、台所に立つのは苦になりませんが、基本が出来ていないことと、レパトリーが少ないので通いはじめました。このホームページの更新にも没頭していますが、天気が悪い日など、一人で誰とも話をせずにいると気が狂いそうになります。そこで気がついたのが、人をもてなすことでした。最初の一日は、誰を招待するか、何を作るかを考えるだけで少なくとも半日は過ぎてしまいます。相手に連絡して、来てくれる日が決まると、二日目は買出しです。予定の材料が店に無いときが一番困ります。奥様方と違って素人なので咄嗟に売っている材料を買い別な料理を考えることは出来ず、やめようかと思ったこともありました。鰯のマリネを作る予定だったのに鰯がなく、止むを得ず鯵を買いましたが、皮を剥くのが大変で小骨をピンセットで取って嫌になるほどでした。兎に角、材料を買って帰った後は、”千の風”を聞きながら前日に準備出来る料理を2種類ぐらい作り、冷蔵庫に入れておきます。三日目になると部屋の掃除、当日の料理、どのお皿を使い、盛り付けをどうするかなどで亡くなった家内のことなど考えている暇も無いほどです。昼頃、お客さんが来て、料理の評判が良いとほっとします。先だっては、小学校時代の名簿を見てお転婆だった女友達3人を招待しました。”お久しぶり”と言って良いのか、”初めまして”と挨拶するのか迷いました。小学生の少女時代とは違った落ち着いた美しい奥様との65年ぶりの対面でした。普通、5〜6種類の料理を作り、月2回のペースでもてなしをしています。ただ、この癒し方は後で疲れてしまうののが欠点です。昔、家内は私が現役の時によく部下を十数名も招待してくれましたが、その苦労がやっとわかってきました。
 現在、有名な韓国料理の先生である金理順先生から韓国料理も習っているので、何れ、韓国の友人も招待するつもりです。




さて、他に、何か良い淋しさの癒し方があったら教えて下さい。
2002年



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