古典折紙(内山折紙)

1.
古典折紙という言葉があるかどうか分かりませんが、これは江戸時代に”かやらぐさ”とし て開花した折紙を京都のお坊さんの内山翁親子が明治から昭和にかけて整理、発展させた折 紙です。

後継者であった嵯峨千代氏は既に世を去り、佐久間八重女さんも最近亡くなったと聞いており ます。彼女の著書に古典折紙という言葉が使われていたので、それを踏襲しました。其の他の 後継者も高齢で他界され最近では折る人が少なくなってしまいました。内山折紙を取り上げた 本も、内山氏の他、十数年前に、笠原邦彦氏がシリーズものを多数発表しておりましたが、今 では見かけなくなっております。鋏は使っても良いが切り落としてはいけないことと、数枚の模 様の違った和紙を重ねて折り、例えば、三人官女の場合、髪は黒、顔は白、着物は模様のある 千代紙、袴は赤といったカラフルな作品である重ね折り、三つ目の特徴としては多角形の紙を 畳んで幾何学的模様(畳紙またはたとう)を作るという三つが内山折紙の特徴です。 鋏を使うことによって細かい細工が出来ます。 次の 4 種類が内山折紙の代表的作品です。 なお、江戸時代、美濃、長円寺の住職、魯縞庵義道が考案した、一枚の紙で多数の鶴を折る 技法(桑名の千羽鶴)も古典折紙の一種と云えます。


鋏を使った折り紙(1)
左の蜻蛉を展開すると右のような黒で示した切込みの入った正方形の折り紙になる。
切り落としてはいない。
鋏を使った折り紙 (2)
鋏で切り込みを入れた一枚の紙で折った海の動物の色々、蝦の角や蟹の足などは切り込みから出しているので、展開すると上の蜻蛉と同じような切れ目の入った正方形の紙になる。 折っている途中で角や足などがちぎれてたりすると失敗で折り 直しをせねばならない。
畳紙
正方形の紙の他、多角形の紙一枚または数枚を畳んで作った 畳紙で内山折紙の特徴の一つ。

「ちゃぼ」のつがい
白、黒、赤、黄色の4枚の紙を重ねて折った色彩豊かな 作品。4枚の紙を重ねて折っているのでかなり分厚くなり、 完成したら寝押しをしておかないと平らにならない。

金魚鉢
上 は透明セロファンで折った4枚の畳紙を繋ぎ、下はブルーの オーロラ紙 4枚の畳紙を組み合わせて作った金魚鉢に金魚を吊るした立体作品。透明セロファンでの折紙は紙が良く見えないので非常に難しい。

現在多く折られている折り紙は戦後新しく独自で開発、発展させた吉沢 章氏の吉沢折紙が主 流になっています。吉沢先生は残念ながら昨年、93歳で亡くなりましたが、これは、鋏は使わず 、例えば、犬を折る場合、前半身と後ろ半身を別々に折って繋ぐ方法を取っております。 現在、各地の折紙教室で折られているのはこの吉沢折紙が殆どです。 なお、上記、内山、吉沢折紙とは違った、江戸時代から受け継がれている千羽鶴があります。 これは、一枚の大きな紙を細分し、繋がった鶴を折るものです。今は、普通の折鶴を束ねた物 を千羽鶴と呼んでいますが、本来の千羽鶴は沢山の鶴が繋がった作品です。 下段上の犬は吉沢折紙の一例で胴体の前後を一枚ずつの紙で折り、右の様に繋いで完成。 下は、九羽鶴で45cmの大きな和紙に左の赤で示した切込みを入れ、9羽の鶴を折ったものです。(桑名の千羽鶴の一例) 真ん中の鶴は四隅が拘束されているので非常に折り難い。洋紙では 折っている途中で紙がちぎれてしまうので和紙を使います。




2. 折紙を始めた動機

終戦間もない昭和24年、駒場の大學時代、渋谷の東横デパートを歩いていたら、折紙の展覧 会が開かれていました。何気なく入って見ると、それまで見たことも無い精巧な素晴らしい作品 が沢山展示されていました。入り口には老人がおり、後で分かったことですが、その方は戦前の小学館の学年別雑誌や講談社発行の少女倶楽部などに毎月折紙の連載をしておられた嵯峨 千代先生でした。当時は、女性の先生と思っておりましたが、お爺さんで当時、70歳と聞いてお ります。ガリ版刷りの案内状があり、日本折紙研究会というのがあって、折紙の講習会が開か れていることも判りました。当時は占領下で、インカ文明がスペインにより抹殺されたように日本古来の文化も占領軍よって抹殺されるのではないかとの危惧もあり、実際に、柔剣道、弓道、 薙刀などは禁止され、学校からは剣道部、柔道部等は姿を消して いました。折紙等も禁止されれば、これを温存する必要があると考え早速、入会の手続きをとり ました。 講習会は月一回、恵比寿の宮本謹爾氏のお宅で開かれ、女性が20人ぐらい、男性は10名ぐら いでしたが、回を重ねるに連れて難しくなったためか、女性の脱落者が続き、終わり頃には男性の方が多くなりました。数年後、嵯峨先生が亡くなられ会は解散になってしまいました。 就職してからは、会社の仕事が忙しく、折紙からは50年以上も遠ざかってしまいました。

 

左の表面の消印は昭和26年6月23日になっている。葉書の大きさは140mm x 90mm と今の 葉書の85% の小さなものである。料金は 2 円。戦争末期は120mm x 74mmであったものが多 少大きなサイズに戻っている。 右の内容は次の通りである。

折紙講習会のお知らせ 小田原市新玉4-583 日本折紙研究會
1.研究課題 夏物、魚舟、エビ、カニ、セミ等
 新しい包紙、八角形包紙、其他いろいろ
1.講師 嵯峨千代先生

1.日時 昭和26年6月30日(土)午後2時〜6時
1.場所 渋谷区 衆楽町 9、宮本謹爾氏邸
電話 渋谷 512
国鉄えびす駅、東横大官山下車約 5分
1.御持参の品 ハサミ、ヒメノリ、物差し(30cm)
1.会費 50円 お友達も同じ
尚、時間がございますれば七夕祭り飾り物の補足、実物見本の展示も致したく思います

同好の御友達多数御誘ひ合わせ御参加下さい。



3. 再度の折紙挑戦

杉並区の荻窪区民センターでは、毎年、区民の持ち寄った書道、写真、生花、彫刻等の作品 を展示するアート展が開かれています。区報に作品募集の広告が出ていたので、この際、折紙 を出展しようと思いつきました。幸い、出展差し支えないとの連絡を受けました。 出展作品を 5〜6種類考えました。ところがそれからが大変でした。何しろ何十年も折紙から遠 ざかっていたので、頭の中では分かっていても、実際に紙を折ってみるとすっかり忘れていて、 何回もやり直し、一つ折るのに 5日もかかった物もありましたが、雛人形は着物の柄を考え伊 東屋や日本橋の”はいばら”で好みの和紙、千代紙を探し一月以上掛かってやっと作品をしあ げました。2007年度の展示作品の一部を下に紹介します。



4.材料

紙があり鋏と小さい作品ではピンセット、畳紙では分度器があれば、折紙ほど安上がりの趣味は無いと思いますが、お雛様や勧進帳などに使う和紙は結構高価な紙があり、最近現れた洋 紙でオーロラ、パールなどの紙は15cm角の紙が一枚25円もします。しかし、オーロラの紙で普 通の鶴を折ると大変見栄えがします。

5. 作品の紹介

その他に学生時代に折った作品の一部を紹介します。昭和26年頃の作品なので色が褪せて います。


内裏雛は和紙の4枚重ね、雌雛と、三人官女は5枚重ね、五人囃子は4枚重ね折り






上の白紙は一枚折り、下は重ね折り



模様のある一枚の折紙で折ったもの、
 

上段左:からすの赤ちゃん、中:七福神(一枚折り)、右:旅からす
下段左:鳥の色々、 中:左より韓国人、日本人、中国人、上は男、下は女、右:歌舞伎人形

6. 折紙教室

アート展を見た方々の中で、教えて欲しいと言う方が現れ、我が家6名ずつ月一回折紙教室 を開くことにしました。大學で学生達に講義をするのと違って、手に手をとって教えるような感じ です。現在12名の奥様が来ておりますが、4種類を折る場合、皆さんに配るために完成品を48 枚を前もって折っておく必要があり、また、おやつに出すシフォンケーキ等を作っておくのも大 変です。

皆様大変熱心で今年参加された方々は金魚鉢を、昨年始めた方々は重ね折のお雛様を折 っています。
月謝は500円にしています。
2008年5月30日

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