グループフォームでの料理

1.グループフォームでの料理

三年前、ホームヘルパーの資格を取るときの実習で、初めて訪れた10人ぐらいの小さなグループホームでの第一日、9時に着いたら早々に、今日は居住しているお年寄りと介護者10人分の昼食を12時までに作ってくださいと云われました。冷蔵庫を開けたらキャベツと人参があっただけ。必要な食材は云ってくれれば3,000円の限度で買ってくるとのことでした。前もって云ってくれれば、適当なレシピを考えてくるのに、突然云われたので面食らいました。それでは、カレーライスでも作ろうかと思いました。たまたま、台所の片隅に吊るしてあった昨日までの料理ノートがあったので中を見ると、昨日がカレーライスで連日、同じ料理というわけにはいかず、料理は出来ませんと断りました。後で考えてみれば、実習生の我々に対する嫌味じゃなかったかと邪推しました。

去年の6月、20歳代の精神障害者が8人ぐらい入居しているグループホームで第2、第4水曜日の夕食の支度をする人が欠員になったので引き受けてくれないかとの依頼を受けました。3時に出勤して6時までに介護員の分を含め13人分ぐらいの一汁三菜を作るのが仕事です。彼らは正常な味覚を持っているのか気がかりでしたが、食事は老人ホームのような流動食でも刻み食でもない普通の料理で良いとのことで、断る理由もないので引き受けることにしました。

2.勝手が違う

料理教室に7年間、既に200回近くも通い、各種、日本料理は勿論、フランス、韓国、広東、イタリー料理などのほか、ケーキ作りも習っていたので、そのレシピを参考にして献立を考えました。予算は13人分で一回5,000円、一人当たり500円足らずとのこと、高価な食材は使えません。前任者からの引継ぎもなく、最初は、先ず誰も居ない台所に入り、何処に鍋、フライパン、計量スプーン等の道具があるのか、調味料はどんなものが何処にあるのか等を探すのに時間を取られ、我が家のとは違うオーブンや炊飯器の使い方などは思考錯誤の状態でした。 勝手が違うと言う言葉を痛感しました。よそのお勝手で調理をするのは、使いなれた我が家の台所と違い慣れるまでかなり時間が掛かります。 到底、3時間で十数人分の一汁三菜を一人で作るのは無理だと悟り、出来る物は家で予め作っておいてクーラーを入れた鞄に詰めて持って行き、味噌汁、和え物など簡単なものはそこで作ることにしました

3.献立

(1) 6月20日(水)

蝦仁橙汁(蝦の衣揚げオレンジソース)、白菜サラダ、
鰯のカラフルマリネ、浅利味噌汁

(2) 7月11日(水)
ポットローストローズマリー風味、鰯蒲焼、
コンナムル(もやしのナムル)、茄子味噌汁

(3) 7月25日(水)
キーマカリー、クミンライス、鮭ムニエル、
ポテトサラダ、野菜スープ

(4) 8月22日(水)
鯖味噌煮、コンビーフキャベジ、牛蒡サラダ、
絹莢と麩の味噌汁

(5) 8月29日(水)
豆鼓排骨(スペアリブの豆鼓煮込み)、鮭と胡瓜酢の物、
キャベツとベーコン蒸し煮、わかめと葱の味噌汁、
ココナッツゼリー(最終回なので)デザートも作りました。

 
7月25日の献立(行儀の悪い人もいる)と 8月29日の献立

4.調理

 調理に当たって、夏場だったので生もの駄目、骨のある魚は喉につかえる恐れがあるので避けるように言われました。食材は購入して全部が5,000円以下になるようにして領収書を添付して提出すれば、その日に精算してくれましたが、ガラムマサラ、チリパウダー等の各種スパイス、豆鼓などは家にあったものを使いました。数日前になると、スーパーなどを歩き回り安い食材を捜しました。料理教室で色々教えてもらった中で、ポットローストは、たまたま輸入品の豚の肩ロースがグラム79円で売っていたので早速購入、スペアリブも、まともでは人数分で5,000円を越えますがこれも偶然見つけた特売品を使いました。鮭のムニュエルではピンセットで骨を抜くと形がくずれてしまうので苦労しました。

5.終わって

精神障害者は味覚に対して正常なのかどうか分かりませんが、最後の日に皆で色紙に色々なことを書きプレゼントしてくれました。障害者のおぼつかない字で“おいしかった”、“とてもおいしかった”と書いてくれた人が何人かいて、苦労が吹き飛んだ感じでした。多分彼らはこのような、おもてなし料理など初めて食べたのだと思いました。家での4,5人に対するおもてなしと違って、使い勝手が判らない初めてのキッチンで一人だけで十数名分の料理をこなしてみてかなり自信がつきました。また、依頼されれば吹っ飛んで行く積もりです

感謝状の色紙を貰って

色紙のたどたどしい文字、まともな字は介護の方々

2007年9年


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